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……朝が来た。昨晩は、うっかり可愛すぎた西野さんにキスをして、それから、全年齢向けの小説ではカットしないといけないような展開になった。
二人では狭いベットの上で、俺は西野さんの手を握って寝顔を眺めていた。
すると目を覚ました西野さんは俺を見るなり背中をむけてしまった。
嫌われたのかもしれないと俺は慌てたら、いきなり西野さんは笑いだした。
「そんなに、ビクつくなら、手をだすなよ」
「だって、平常心でいられないくらい、可愛かったんですもん!」
「……可愛いとか、言うな」
「どうしてですか。本当に可愛かったんですもん」
「そうじゃないだろ、察しろよ」
「えと…」
「好きだからって言ってよ」
「……っ」
「愛してたからって言ってよ、そうじゃなきゃ…僕が、ビクつくじゃん。可愛いからって言われても、嬉しくないよ…」
「西野さん…」
「自分でも、わかっているんだよ、女顔だし、そのせいで変な目で見られること多かったし…でも、誰も僕のこと好きだったからじゃないって」
だんだんと泣き声になりながら西野さんは丸くなっていった。
「気がついたかわからないけど、僕、初めてじゃないよ。それでも、嫌いにならない?」
初めてじゃないって言われて少し…いやかなりショックを受けた。それに、前の言葉のニアンス的に、なんとなく察しがつく。もしかしなくても、西野さん、遊びで男の人にされたことがあるんだと。すると俺はとてもやりきれない気持ちになった。
「俺は西野さんが今怖がっていることを、受けとめられる自信がないです。でも、そんなことで嫌いになりません。今はちょっと俺が小さい男だから、余裕見せられないですが、その、好きだから。西野さんが好きだから、そんなの構いません!」
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