９
「確かに、高良と俺の嫁は似てます。はじめはそれで少しドキドキしたり意識はしましたが、違うんです。高良は高良で、嫁は嫁です。それに、俺、俺は、西野さんが好きだって言いましたよ、不安がらないでくださいよ！」
「だ、だだ誰が不安がっているっていうんだよ、うぬぼれるな！」
「いたっ…叩かないでくださいよ、俺打たれ弱いですから」
そうだ、こんなにも打たれ弱い俺が、俺にきつく当たる西野さんを好きだって言うんだから、それがどれほど特別かわかってほしい。それは贅沢な話になるのだろうか。
「……ごめんね。僕、こんなんで」
「え、何を言っているんですか。俺は西野さんだから好きになったんですよ。実を言うと俺、ボーイズは苦手で、恋愛って美少女とするものだと思っていたんですが…今は、もう、西野さんと以外する気がないんで」
こんなにも惚れさせているんだから責任を取ってくださいね、と俺が言うと、西野さんは、笑った。責任の取り方がわからないな、と。
「俺と恋をしてください」
一緒にいましょう。まだ西野さんのことよく知りませんが、これから知っていきます。
俺は勇気を出して何度目かになる告白をした。
すると西野さんは「僕でいいの？」なんて言う。
俺はあなたがいいと何度でも言っているのに…
「好きだって、気持ちしか、わかりません」
難しいことは今はまだわからないですと俺が言うと西野さんは「上条らしい」と笑った。
「あの…返事を下さい。俺、今日は返事が欲しいです」
「返事なんてしなくてもわかっているだろ、馬鹿」
「じゃあ、あの、キスしてもいいですか？」
「だから返事なんて…」
「西野さんの口から聞きたいんですよ。駄目ですか？」
「駄目じゃないけど…」
もじもじと西野さんは俺を見つめる。俺、言葉を待てなかった。
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