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西野さんの部屋をじろじろと見ていたら、西野さんが台所で紅茶を入れてきてくれた。俺、紅茶飲めないんだけど…
「あ、上条くんは甘いのがいいんだよね、ガムシロップとか持ってくるよ!」
俺がなかなか紅茶に手をつけないから西野さんは気をつかってしまった。
馬鹿、俺。西野さんが俺のためにいれたくれた紅茶くらい飲めるだろう。
震える手を伸ばして俺は可愛らしいコップを掴む。
どうしよう、まじでこれ、紅茶の匂いがする。
でも、西野さんの匂いもする。
やばい、少し…ムラムラしてきた。
「あれ、上条くんそのままで飲めそう?」
いちおガムシロップとか持ってきたよと西野さんは俺の近くに座る。
俺は紅茶を机の上に置くと、思いっきり西野さんに抱きついた。
「え、上条くん?」
「わ、わ、ごめんさないっ」
焦った。今、完全に無意識だった俺。
「なんで謝るの?」
「え、だって、急に無理やり抱きしめたっていうか…その…」
「別に無理やりとかじゃないから」
西野さんは俺から目線を逸らした。
「わかってて、横に座ったんだし」
「え?」
それってどういうことなのか。俺はその答えにたどり着く間もなく、西野さんに抱きしめられた。
「今さらだけど、僕ね…」
上条くんのこと好きだよ、と西野さんは言った。
俺はしばらくその言葉の意味を頭で理解できずにいた。
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