[脱線プラン]
完璧少年×挫折少年/幼馴染/受け視点
はじめての挫折がいつだったかなんて
覚えていない。
その時の感情も、もう覚えていない。
忘れたつもりだ。
だけど、18にして、
はじめての挫折を味わった君が泣いていた。
「完璧にしか意味がなくて」
君は言った。
失敗したことが許せないのだと。
自分の情けなさが許せないのだと。
俺は言ってやった
「いつまでも落ち込んでいる方が駄目だ」と。
たとえば、今上手くいかないからって
拗ねたら、終わり。
どうにかしたいと本気で思うなら、
ちゃんと立てって。
俺はそうも言ってやった。
「こんなの計算外だ!」
君はそう言って俺の手を握った。
「格好悪くてしかたなくて、落ち込んだだけだ。見とけよ、俺は今から完璧にやり直してみせる。終わり良ければよしだ」
キラキラと君は愛おしそうに笑った。
ずっとただ憧れにも近かった幼馴染は…
久しぶりに俺だけ、見つめて。
「……ぁ」
うっかり頬が赤くなっていくのがわかって、
俺は瞳を逸らした。
ずっと挫折続きの人生でした。
ずっと君が好きなのに、
ただ諦めるばかりの人生でした。
だけど君が笑うから、俺はそれでいいと…
思って…
君の背中を押してやった。
すると君は振り返って「俺のこと見ててな」って。
「ずっと見ているに決まってんだろ!」
俺はふざけたフリをして、言った。
でも君は、何も言わずに、
頬を染めて微笑んでくれたんだ。
「「あのさ、ずっと好きだったん…ええ?」」
どちらともなくかぶった告白があまりにも
不完全で俺たちは笑った。
そして立ち止まったままの足を動かして、
君のもとへと走った。
別に完璧じゃなくても
悪くないんじゃないかって
俺は後で君に伝えるつもり。
でも今は、君と、キスしていたい。
end...