きっかけはいつも後付け




=千香side=


「……俺の忠告も何もいらんかったなー」

俺が会長にことのいきさつを話したら会長はそう言った。

俺はそんなことないですと言う。


「会長が俺のこと思ってくれたことが嬉しかったし、元気出たから」

「千香、そんな嬉しいこと言わんでくれ!」

「…で、さっきから、何を打っているんですか?」

「えー、と、なんだろうね!」

「まさか、また勝手にネタにしてないでしょうね?」

「千香ちゃん、怒らないで、これも愛だよV」


「ふざけんな!」


「大真面目だよ、俺みたいな腐男子はいつだって大真面目だよ!」

「お前、腐男子とか関係ないだろ、勝手に人をネタに小説書くその癖を直せ!」

「ひどいよー千香ちゃん、水戸くんに出会えたの、俺のおかげじゃないの!」

「まさか、俺が男の格好だとしても、あいつは……いや、ありがとう」

「何、急に、素直になって…可愛いじゃないか!」


俺は思った。

もしも、あの日、俺が男の格好だったら、チャラ男はナンパしてこなかっただろう。

もしも、あの日、それでも水戸くんが俺を見つけてくれても、俺は男同士で何を言っているんだと、水戸くんを引き離そうとしただろう。

きっと、これでよかった。

全てをよかったなんて簡単に言いたくないけど、俺は全てを受け入れようと思う。

そして、明日へと、未来へと、生きていけたらいいな。


「俺、会長には感謝してますよ」






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