2
=千香side=
お風呂に入っていて、目の前をGが横切ったんだ。
そのGとはコードネーム。
名前も呼ぶのも恐ろしいそいつは、黒くひかり、翼を隠し持ち、本当に、気持ち悪い。
俺は、そのゴキブ…じゃない、Gと同じ空間にいるのが怖くて、洗面器を投げた。
すると、水戸くんが俺のことを心配して、お風呂に来てくれた。
けど、恥ずかしくて、俺は水戸くんに、もう一つあった洗面器を投げつけてしまった。
水戸くんはそれから、意識を失ってしまって、そこから、目を覚まさない。
俺はベットの上で伸びている水戸くんを見つめていた。
苦しそうな顔をして…いて、もしかしたら、俺が男だとばれたのかと心配になる。
自分から言いたかったのにな。
でも先送りにばっかりしていた俺が悪いんだよな。
「水戸くん…」
俺は、水戸くんの手を握った。
今さら、服をきて取り繕う気にもなれない俺は、
ただバスタオルを巻いて、ずっと、水戸くんのそばにいた。
[*前] | [次#]
目次に戻る→