覚悟はすぐに決まらない
それでも俺は、水戸くんを前にすると何も言えなくなってしまう。
後で会長は、いつかばれるなら、自分から言いなさいと、言ってくれたけど。
そうだよな。
俺だって、もし隠し事があるなら、言ってほしいかな。
他人からバラされるのではなくて…
偶然、知ってしまうのではなくて…
その人の口から、聞きたいな。
わかっているのに、俺は、怖くて、何度も紡ごうとした言葉を飲み込んでしまう。
ダメだ…
「今日は泊っていってもいいですか?」
もうすこし一緒にいたいと水戸くんは俺の部屋に遊びに来た、夜、そう言った。
俺は断る理由もないし、俺も一緒にいたいと思ったから、いいよって言った。
手を伸ばしたら、届くところに、水戸くんは居るのに、
水戸くんが俺の手を取って、微笑んでくれるのに…
俺は、どうしたらいいのかわからなくなる。
俺は、いつまで、黙っているのか…
神さま、もう少しだけ、いいですか。
もう少しだけ、このままで。
明日になったら、絶対に、言おうと思うから。
だから。
今日、最後に一日だけ、この幸せに浸っていたい。
自分勝手だな…
[*前] | [次#]
目次に戻る→