「うんうん、可愛い」

「うっさい、褒めてもらっても嬉しくない」

「ひどいな、俺本気で千香が好きなのになー」

「は?」

「おじさんは嘘吐かないよ?」

「え?」

「だから、いつでも相談にきなよ。聞くから。前はわるかった。そんな真剣だとか思わなくて、つい、な。でもあれも真剣な話のうちの一つだから」

「今なら、わかっているよ」

「…うん。で、話もどすけど、そういうことだから。千香。水戸くんだって千香のことそれだけ好きでいてくれたら、男だって知って悩んでも、好きでいてくれると思うよ」

「そうかな…」

「俺が保証するって!」

「不安だなー」

「なんでだよ、千香、俺ね、俺だよ! この大きい文房具会社を株のやりとりで生計を立てている、この天才会長が言うんだよ!」

「……本業の文房具じゃなくてね」

俺は思わず笑ってしまった。
会長は「言ったなー」とか言いながら、笑う。

わざととぼけるだなんて、あんた…優しすぎるよ…






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