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「つまり、女装したままの姿から付き合いだした男の子がいるけど、まだ、言ってないんだ。千香が男だって」
「そうなんだ…でも、俺、できれば言いたくない」
「言いたくなって言っても、千香、ずっと、このままでいられると思っているの?」
「思わない。だけど、壊したくない。俺を見て、愛おしそうに笑ってくれる、あいつを失いたくないんだ」
「けど、勘違いしているなら、結局のところは…」
「わかっているよ、あいつは俺を見ているようで、俺を見ているわけじゃない。だから、大切にされたら、余計に寂しい。でも、離れたくないと思うんだ。ずっと矛盾していて、自分が本当にわからなくて、どうしてあらいいのか、どうしようもないのに、考えて…でも、俺、好きだから…」
「千香、俺からも一ついいか?」
「え?」
「千香は、その、水戸くんが好きなんだろ。じゃあさ、千香は水戸くんが、女の子だったらどうする?」
「え、水戸くんが…?」
「やっぱり嫌かな?」
「……俺、女の子…好きになったことないから、わからないし、女の子は…恋愛対象から外れているけど、水戸くんなら、そういったふうに見れるかな…。わからないけど、好きだって気持ちはかわらないだろうな。きっと悩むけど」
「本当に、好きなんだね」
「…だから、言っただろ。本当に、好き、だって」
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