弱気になる時は…
=千香side=
「……この前は、殴って、すみませんでした」
俺は会長室に入ると、深く礼をした。
この前は思いっきり殴ってしまったから、
会長のこと。
「千香ちゃん、頭をあげて」
「会長…」
「情けない顔しないの!」
「いたっ」
丸めた紙が飛んできて、俺の頭に当たる。
「千香ちゃんの馬鹿、馬鹿!」
「わ、ちょっと」
次々と会長は俺の方に丸めた紙を飛ばしてくる。
その表情が…どこか、悲痛で。
「なんで今さら、来るんだよ! もっと早く来いよ!」
「え?」
「そんな、可愛い顔にクマなんか作って!」
馬鹿、馬鹿、と言いながら、会長は子どものように、叫んだ。
俺は、飛んでくる紙の中、どうして、今まで一人で悩んでいるだとか思っていたんだろうって、反省した。
こんなにも俺のことを大切に思ってくれる会長がいたのに…
「ごめんなさい…」
やばい、本当に俺って涙腺、おかしくなっている。
「わかればいいんだよ!」
ほら、もう、笑うか怒るかしろって会長は言って、俺に椅子をすすめてきた。
いつも、大切な話をするときに二人で使っていた、椅子。
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