「水戸くんは、台所に立たない方がいいかもしれないな」

出来上がった、男前な野菜炒めをつつきながら俺は言った。

「俺も、やっぱりそう思います…」

しゅんと水戸くんは俯いた。


「いや、でも、水戸くん、これおいしいな。水戸くんが作ってくれたから、かな」


「え?」

「俺はこれ、好き」

ほら、水戸くんも食べてみなよって、俺は箸につかむと、水戸くんの方に差し出した。

水戸くんは嬉しそうに笑うと、俺の箸に口を開いた。


まるで、恋人同士みたいだって思う。
いや、恋人なんだけど…


なんだけどね…


「な、おいしいだろ!」

「本当だ、千香ちゃんが教えてくれたからかな…」

「なな、お前、そんなこと言うなっ」

「どうしてですか?」

「どうしてって…そりゃ…な」

「嬉しいから…ですか?」

「そそそん、そんなことない!」

「照れてますか?」

「照れてないです」






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