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「これ、新品だよね?」
「ああ、めんどうだから、使ってないんだ」
「一人暮らしなのに、料理しないんだ?」
「いやぁ、最近はキッチンが町にあふれているじゃん」
ほら、とある弁当屋さんなんて「あなたの街の台所」とか言ってるしね。
「そっか…」
永太は残念そうに、鍋を見つめたまま、泣いてしまいそうな顔をした。
何か思いつめているのだろうか。
普段は順序も大切にする永太がいきなり俺の腕引っ張って今に至るわけだろ。
「何かあったのか?」
「侑、俺、弁当が作れるようになりたいんだ!」
「は?」
急な展開に俺の頭は固まった。
「え、どうして?」
「あのね、部長ね、お昼課長と二人でお外ご飯するんだ! 課長は別にいいけど、外食ばっかは体に良くないんだよ、それに、俺、もっと、部長といたいし、俺に出来ること、何かしたいって思って!」
…ああ、一途だなー。
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