再開と再会
=千香side=
今日は有給休暇が取れたからゆっくりしようと喫茶店に行った。
すると、なんかチャラいのに絡まれた。
お前らなー、公共の場で何を男ナンパしてんだよって思ったら、俺、うっかり、いつもの通勤用のスーツで紅茶を飲んでいたんだ。
しかたないのか…いや、今日はノーメイクだぜ!
どうして誰も俺を女の子だと思って疑わないんだ!
まあ、変態呼ばわりされるよりはいいか。
で、ま、ナンパだから、女の子らしく断ってみようと思った。
会長にはお前は本当に演技がなってないとか言われてたし。
俺だってやろうと思えば女の子のふりなんて、完璧なんだ。
そう思ったんだけど、つい、手が出た。
しつこい、チャラ男が悪いんだ。
でもすっきりしたなー
とか、思っていたら、俺のこと「千香ちゃん」と呼ぶ声がした。
そこは絶対に振り返ったらいけないところなのに、俺は思わず振り返ってしまった。
「え?」
時が止まったかと思った。
高校の教師の実習に行ったときに見かけて、いた、彼がいた。
そっくりだった。
いつも勉強ばかり頑張っていた人。
俺はそのまっすぐな姿勢にあこがれていた。
こんな偶然があるのだろうか…
俺がそうやってぼーとしていると、彼の瞳からぽろぽろと涙があふれて頬をつたった。
正直、困った。
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