涙は自然現象!




「…ですから、近づかないでください。殴り飛ばすですよ?」

「え?」

殴り飛ばすですよってどんな敬語だよ。
俺はそう思って中佐都と座っていた、むこう側を見つめた。

仕切りがあって何も見えないけど。


「だからさ、いいじゃん、暇してるんじゃないの?」

「そうそう、おごるからさー」


軽い兄ちゃんの声だ。

俺はこの時席を立った。


たぶん、かよわい女の子がナンパされて困っているに違いない。

違いなかったのに…


「え…?」

頭が真っ白になった。
俺の前を大柄のチャラ男が次々に飛んでいく。


「だから、忠告しただろ、馬鹿野郎!」

パンパンと手をたたきながら、汚いもの触ってしまったよ…みたいな仕草をしながら、スーツ姿の可愛い女の子は溜息をついた。

そして、投げ飛ばしたチャラ男たちの方に歩いて行くと、一言、

「俺はチャラチャラした奴が一番タイプじゃないんだ!」

と怒鳴った。


俺…って…。

最近の女の子って…、怖いんだなー


俺、最近ずっと男の子しか見てなかったから、知らなかった。


「…え?」

あれ、あの子、もしかして、いやそんな…

「千香ちゃん!」

俺は喫茶店の真ん中で叫んだ。
彼女はすぐさまこっちを振り返ると同時に

「誰が千香ちゃんだって!」

と叫んだ。



俺は泣いてしまった。







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