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それで、勉強だけはできたんだよな。
大学に行こうと思って。
「千香ちゃん…」
忘れられないんだ。
優しくほほ笑んで俺をなでてくれた手。
白くて綺麗な肌。
キラキラしている瞳。
まるで女の子みたいなのに、やっぱり男の子だっていう雰囲気は残して…
俺はいつも男の子ばかり見ていた。
それはただ男の子の中に千香ちゃんを探していただけなのかもしれない。
そう思ってみたら、納得がついた。
俺は男の子が好きじゃなくて千香ちゃんが好きで、
ただそれだけなのかもしれない。
永太が一番俺の知り合いの中で千香ちゃんに似ている。
くりっとした瞳がとても似ている。
永太と見つめあったら、まるで千香ちゃんと見つめ合っているような気分になるから。
ああ、かなり末期かもね。
「何年前の話になるっていうんだよ…まったく…」
俺は寝返りを打った。
二度寝してやる。
だってどんなに俺が君を思っても、
君は俺の瞳に映るところにはいない。
手も届かない。
それでも、好き。
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