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図工の時間に、お父さんの似顔絵を書こうだとかきつい授業があった。
俺はなかなか作業に取り組めなかった。
先生にも早くしろと言われたりもしていた。
でも、俺のお父さんなんていない。
いるけど、居ない。
辛くて、うつむいていたら、千香ちゃんが
「どうしたんだ?」
と俺の話を聞いてくれた。
俺は正直に話した。
前のお父さんのこと覚えていないけど、
今のお父さんは再婚だから、
俺のお父さんじゃないんだって。
すると千香ちゃんは俺の頭をなでて
「水戸くんは若いのにえらいなー。俺は、お母さんだけど、そんな感じだから、よくわかるよ。今までよく耐えたね。大丈夫、こんな授業俺が壊してやるから」
と。
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