完了・1




=田辺side=


今日一日だけ、後少しだけ、そんな風に思ったけども、
ミチユキの携帯に「さっさと帰ってきてください」なんて神さまから命令があったから、俺はチトセとユウキに「今までありがとう」とお礼を言って、天界に帰った。


ユウキからは、チトセをちゃんと幸せにするから、心配しないでいいなんて言われたし、
チトセからは、俺は頑張るから甘えないからと言われてしまったし、
なんか、お役御免な気がして寂しい。


天界までの帰り道、隣にいたミチユキにそう言ったら、俺がいるだろなんて真顔で言われた。

ちょっと嬉しかった。
たいぶ恥ずかしかった。


「……そのさ、ミチユキ、今さらだけど…さ」

「何?」

「ありがとうな」

「え?」

「その、上手く言えないんだけど…その、俺が一人でいるときとか、構ってくれて…嬉しかった」

素直になれなくて喧嘩ばかりしていたけど、俺はミチユキがそれでも俺に会いに来てくれるのが、嬉しかった。

あたふたとどうにかして伝えようと必死に言葉を紡ぎ続けたら、ミチユキは「だったら、キスさせて」なんて言う。


「馬鹿!」

俺は真剣なんだぞと言ったら、ミチユキは俺も真剣なんだぞなんて言いやがる。
しゃあないな、全く、もうぉ。






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テーマ「人外ファンタジー」
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