未達・3
「え?」
まだチトセの願いごと叶ってないじゃんと田辺は言う。
俺はゆっくりと首を横に振った。
「確かに、俺、ユウキと両想いになれたら、いいと思っているけど、なんだろう、今幸せなんや。ようわからんけど、なんや、ふっきれたんや」
「チトセ…じゃあ、俺にできることってもう」
「……もとから、俺は自分で頑張らなあかんかったんやろうな、本当は」
やのに、田辺に傍にいてもらって元気をもらって、やっと立ち上がれた気がしたんや。
「俺はずっと自分の人生を頑張りもせずに、嘆いていただけやったから」
これからはもっと頑張っていくよ、なんて不安だらけだけど笑って見せた。
すると田辺は「そう?」と嬉しそうにほほ笑んでくれた。
「うん、もう、大丈夫やよ?」
「そっか、それはよかった」
「な、田辺…ユウキの返事はどうなるかわからへんけども、俺は…」
気がつけたことが幸せです。
あたり前だけど、俺にないものがあるなら、自分で勝ち取りに行けばいいだけの単純なことだと。
[*前] | [次#]
目次に戻る→