未達・2
「そういえば、純情ドロップいる?」
この前落としたままだったから、新しいの用意したよなんて田辺は言う。
「いらない」
俺は自分でも不思議なくらいすっきりした声で答えた。
「なら、よかった」
「うん、田辺、今までありがとうな」
「俺、何もしてないよ?」
「ううん一緒にいてくれたやん」
「えーチトセそんな可愛いこというんだぁ」
「…なんやねん、かわええとか…」
「本当のことだよ、ユウキもこんないい子に好かれて幸せだな…」
「………な、田辺」
「うん?」
「田辺は帰るんやよね。俺がその幸せになったら…」
「寂しいけど、そういうことかな?」
「じゃあ、もう、田辺帰るのかな?」
やって、俺はもう、幸せなんやから。
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