清算・3
彼女は……いや神崎は最後に「愛されてみたかっただけ」なんて言い残して笑った。その顔が笑えていないことなんて俺には指摘出来なかった。
神崎はいつも楽しそうにしていたけども…実際はどうなんだろうと一人考えた。
結局俺にわかることなんて、俺の気持ちだけだった。
「じゃ、明日からは普通のクラスメイトで!」
今までありがとうと神崎は男らしく手を振ると去っていった。
「ああ、さようなら」
たとえば、俺が神崎のこと利用していたことを悔やんでいるとしたら、それを許して認めてあげるのは俺なんだろう。
たとえば、神崎がそれを許してくれても、俺が自分自身を許さないことには終わらないだろう。
神崎は、不思議な奴だな。
きっと俺のこの気持ちも知りながら、あんなこと言ったんだ。
自分の感情は自分でしか、許せないし認められないなんて…
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