恋路・9
「ユウキの馬鹿ぁ…アホぉ」
「チ、チトセ?」
「俺の気持ち知らんとそんなこと言わんといてよ…」
「……え?」
「もう、ええ。幻滅されてもええ。あんな、ユウキ、俺な、俺な、ユウキのこと好きやねん。好きやねんって!」
喧嘩腰にチトセはそう叫んだ。
そんな、俺なんかに必死にならなくてもいいのに…
「ちゃうねん、友達とか親友とかそういう好きやないねん。俺は、その…な?」
……やばい、幸せで、赤面していることが、わかっているのに、隠せない。
「チトセ、最後まで言ってくれる?」
「意地悪…」
「ちゃんとチトセの口から聞きたいだけだよ?」
「……あんな、俺な、ユウキのこと恋愛感情で好きやよ…」
耳まで赤くして震えながらチトセはそう言ってくれた。
すぐにでも抱き締めたかったけども、俺は我慢した。
ただ「ありがとう」と笑った。
そして、返事はもう少し待ってほしいと言った。
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