恋路・8
守りたかったものがあった。
大切だと思ったものがあった。
俺の隣で無邪気に笑う君が好きだった。
ただそれだけだったのに、いつからか、俺の隣で拗ねている君も好きだと感じた。
怒っている君も、悲しんでいる君も、みんな好きだと思うようになった。
「俺もチトセが好きだ!」
好きなんだ。
好きすぎるんだ。
忘れてしまいたい。
でも、きっとチトセの言うように、忘れても、また俺は君を好きになりそうだ。
忘れることができても何処か虚ろになってしまいそうだ。
こんなにも好きだから…
好きすぎるから。
「俺はチトセが生きて笑ってくれていたら、それだけで、いい」
それだけで、いいんだ。
[*前] | [次#]
目次に戻る→