恋路・3
同じ気持ちだと思って一代決心の告白をしたら、ミチユキは首をゆっくりと横に振って、黙り込んでしまった。
あれ、俺って何か早とちりしてしまっていた?
「あの…その…えとえと」
どうにか自分の言葉を誤魔化そうとしたら、ミチユキは急に俺を抱きしめた。
どうしたんだろう。
全く、俺に、こいつはわからない。
「田辺…過去形にしないでくれよ」
「過去形?」
「…ほら、恋していた、なんて終わったみたいじゃん。恋している、にして」
耳元で囁く。
やばい、俺、完全に、溺れていっている。
「俺、ミチユキに恋している」
どこかぼーとして無意識のうちに言葉を発していた。
それがとても恥ずかしいことだと気がついたのは夜が明けてからのことだった。
チトセが何かあったのかと心配そうにしてくれたけど、俺は本当のことを言えずにいる。
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