恋路・1




=田辺side=


ミチユキのことが好きだった。
はじめはただそれだけだった。
なのになのに、ミチユキにも俺のこと好きになってほしいと思った。
ミチユキの一番になりたいと思った。
けど、それは叶わないことだと、俺は知っていたつもりだ。
ミチユキは俺みたいに馬鹿な天使がめずらしいから、俺に構っているだけだと、神さまに提案したゲームのせいで俺の兄さんが消えてしまったから、罪悪感を抱えていて俺に構っているだけだって。
知っていたはずなのに…
自分の感情を消してしまおうとして、ミチユキに冷たくしたこともあった。
俺から、ミチユキが離れていってくれたら、俺は楽になると思った。
だけど、だけど、ミチユキが俺から離れていく…そんなことが想像するだけでも辛かった。
それに、こんなにも醜い俺をミチユキに知られたくなかった。
幻滅されると思った。
怖かった。

「な、田辺、俺は田辺が田辺だから、好きなんだと思う。マジで」

俺にキスをして、ミチユキはそう言った。
真剣に、そう言ってくれた。
俺のほうこそ、誤解してしまいそうだ。






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テーマ「人外ファンタジー」
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