感情・1
完全なものに作られた天使だったから、
俺たちには破損の原因になる感情なんて
与えられないはずだった。
規則正しく動くだけで、
間違いを起こすこともなく、
やるべきことを片づけていく。
まるでロボットのような日々。
それを良いとも悪いとも判別もできない。
そもそもそんな疑問を抱くこともない。
俺たち天使はその時、平等であり、完璧だった。
遠い昔、俺を作った神さまは言われていた。
感情なんてものはこの世にいらないものだったと。
下界を見つめて悲しそうに言われていた。
喧嘩をして、傷つけあって、悲しむ人間を見て、
失敗したと言われていた。
俺もそうだと思った。
何が楽しくて傷つけあうのだろう。
何が楽しくて…
悲しくなって、俺ははじめて涙をこぼした。
俺は驚いてさらに涙を流した。
感情は…ここに生まれていたんだ。
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