意思・1




神さま、忘れたくないことができました。


家についてゆっくりしてお風呂に入って、それで田辺が眠ったころに、俺はバルコニーに出ると両手を合わせた。

神さまなんて信じてへんよ。

でも、俺は両手を合わせてお願いをしてみた。


「記憶がなくなったり、変えられるのは、とても嫌です」

だから、どうか消さないでください変えないでくださいと俺は祈った。
届いたかはわからない。

そもそも神さまがいるのかさえもわからない。

田辺が天使ってこともまだちょっと信じてない。

でも、信じないと納得がいかないことが多すぎて、そう思っている。
いやそういうものなんだと最近は勝手に頭が理解しようとしている。


人の脳みそは、容量が決まっているらしい。
だから、パンクしないように適当に忘れていくんだと以前テレビで聞いてことがある。


忘れるなんて簡単だ。
でも忘れてしまいたいことほど、忘れられなくて…

大切なことほど呆気なく消えていって…


「神さま、後、俺、幸せを正直に幸せだと認められるようになりますように、大切なことをちゃんと忘れずにいられますように、辛くても、ちゃんと向き合えますように…」


なんて、俺は、言いますが、神さま。
俺は自力で頑張る予定です。


だから、意地悪だけはやめてくださいね。






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