幸時・2




=田辺side=


幸せだと思う時。
いつもどこかに恐怖が混じっていて。
俺は怖くて仕方なかった。
大好きだった兄さんはよく言っていた。
「感情に耐えられなくなりそうだ」と。
俺にその意味はわからなかったけど、
ミチユキに出会えて知ってしまった。
ずっと綺麗でいたかったのに、
醜い嫉妬もしたりして、
我がままに自分本位に、愛を求めてしまいそうで、
怖かったんだ。
毎日がとても輝いていて、
毎日がとても愛おしくて、
いつか、壊れることを恐れた。
また昔みたいに色のない世界に帰ることが耐えられない。
だけど俺は現状で満足もできず
さらにミチユキの気持ちを欲しがった。
貪欲だと、嫌になった。
困らせたいわけじゃ、悲しい顔させたいわけじゃ、ないのに。
いっそ、このまま消えてしまいたい。
そうしたら、俺はこの気持ちのループから解放されて、
安らかになれるんじゃなかって
思ったんだ。






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