期待・2




そうだ。
ある日、俺の家の隣に引っ越してきた同い年の男の子は、記憶によく残る関西弁だった。

はじめて俺に会った時に彼は「悲しいの?」と俺に尋ねた。

だけども、俺はその質問に答える間もなく、話題が次に変わってしまっていた。

彼は「俺、冨田チトセ」と自己紹介して、友達になろうなんて、俺に手を伸ばしてきた。

俺は普段ならそんなものに関心なんて示さないのに、気が付いたら、チトセの手を取っていた。


はじめて、俺に、守りたいものができた。
俺はチトセの笑顔を好きだと感じた。

俺の世界は急に楽しいものになった。

もう時間が流れなければいいと、ずっとこうしていたいと願ったほどに…。


朝目が覚めて君に会えることを望んだ。
昼転寝をしつつ君の温もりを探した。
夜眠りにつくとき明日の君を描いた。


恋した。


俺はチトセの友達って言う言葉を裏切って、
恋人になりたいと思った。


それは母が見ていたドラマの男女がキスをしているところを見た時に感じたもので、
俺も、チトセとああなりたいって…そんな。


浅はかな…






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