邪魔・1
「ま、気を取り直して…俺、田辺こと天使が神さまから授かった必殺アイテムをご紹介しましょう!」
とっくに二時間目を告げるチャイムなんて鳴り終わっている渡り廊下の隅っこで俺はチトセに笑いかけた。
「じゃーん、純情ドロップ」
「どこの猫型ロボットの声真似!? 似てないって」
気分よくポケットからドロップを出した俺にチトセは水を差した。
ま、俺も、そんなに気が短いってわけじゃないから、見逃してあげるけどな。
「よく聞くんだ、チトセ。これはね」
「もしかして、食べた人は食べさせた人の命令を聞くとか言うなよー」
「……なんで?」
「だって、そんなんありきたりやん。面白ない」
「面白くない…」
「ああ、そうやで!」
…………俺、どうしたらいいんだろう。
わからなくなってしまって、言葉をなくした。
するとしばらくして、俺が一人悩みこんでいることに気がついたチトセは俺を見つめて、すまん、と頭を下げた。
チトセ何も悪いことなんてしていないのに…
「いや、田辺、悪かったって。王道もええやんな!」
「どういう意味?」
「…その、面白くないなんて冗談や。悪かったわぁ。正直、そのドロップが食べさせた人のいうことを食べた人が聞くなら興味あるで?」
「チトセェ…」
ほっとした俺はチトセに抱きつこうとしたら、ミチユキが急に俺とチトセの間に入ってきた。なんで、邪魔すんの、ミチユキ。
俺とチトセの友情を止める権利なんてお前にないだろ!
全くもうぉ
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