裏側・7




=チトセside=


「ユウキ今日は休みなの?」

学校一の可愛い子ちゃんは休み時間になるなり俺の前まできてそう聞いてきた。
きっと彼氏が朝のホームルームと一時限目の授業におらんかったことを不思議に思ったんやろう。

胸のなかがチクチクしてんやけど、俺は可愛い子ちゃんに笑いかける。


「ただのさぼりやわ。いちお、朝は俺と登校してきたで?」

「今、何処にいてるかは…?」

「そやな、俺にもちょっとわからんわ…」

「そう、ごめんね、いつも、何かあったら聞いちゃって」

伏せ見がちに整った顔で彼女は俺を見つめる。うん、文句なしに可愛い。

きっと俺は彼女に勝てるわけなんてないんやろうな。

そもそも、俺と彼女じゃ、同じ土俵に立つことも出来やしないっていうのに…


「しゃあないよ、ユウキが携帯持ってないのが不便なだけやって」

「あはは、携帯、なんで持ってくれないのかな?」

「なんや、機械は嫌いらしいわ」

「しかたないかな。うん。ありがとうね、チトセくん!」

「ええって、そんな」

えへへ、と二人して笑って、俺は一人、教室から出ると、屋上を目指した。



「ごめんな…」



俺がユウキの彼女さんに勝てることゆうたら、これくらいなんや。

これくらい譲ってもらってもええよね。


本当は、ユウキが屋上にいるんじゃないかって、俺は予測がついていて、嘘をついたことくらい、きっと、いいよね…?






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