裏側・5
「俺はミチユキっていって天使してるんだけど、そう言った話は信じるタイプ?」
俺はユウキの質問に正直に答えつつ、きっとユウキは俺の言葉を信じたりはしないんだろうなと溜息をつく。
すると意外なことにユウキは「いや、信じる」とあっさりした返事をした。
どうしよう、ユウキって淡々としているけど、根はいい奴なのかもしれない。
なんだか、ちょっと親近感わいてきたんだけど。
「俺…小さい時から、人に見えないものが見えていたりするんだ、だから、さ」
お前のこと見覚えあるんだけど、きっと誰にもお前は見えていないんだろうなって、ユウキはごく当たり前のように言った。
これはなんという奇跡に近い展開なんだろう。
「そうだ、俺誰にも見えないはずなのに、ユウキが俺のこと見えているの不思議だというか、今まで、見えてなかったんじゃ…?」
「そんなことない。田辺の横にずっといたんじゃないのか? けど、俺さ、お前の名前しらねぇし、なんか、チトセがお前の方見ないから、どうなのかなって、思ったりもしていたんだが…」
なんで今さら気になったんだろうなって、ユウキは不思議そうに呟きながら俺の隣に並んだ。
「俺、ミチユキみたいな誰にも見えていない存在は、絶対に出会って二日くらいで声かけるんだけどな…」
「あはは」
あってますよ。厳密には俺とユウキは出会って二日です。
だって、田辺がチトセの横について今日で二日目だから。
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