裏側・2
=田辺side=
………また、寝癖がついた自分の髪の毛にがっかりした。
昨日はあんなにも綺麗になっていたから、それが本当の俺なんじゃないかって思ったのに…
やっぱりこのボサボサ金髪が俺なんだ。
「田辺、どうしたんや?」
チトセが心配そうに鏡とにらめっこしている俺に声をかける。
俺は正直に、自分の髪の毛がボサボサなことを説明したら、チトセは盛大に笑って「まあ、座れ」と俺の肩に手を置いた。
「え、整えてくれるのか?」
俺はドキドキしながら聞いたら、チトセは「しゃあないやろ」と言ってくれた。
「ありがとう、俺ね、いつもいつも髪の毛ボサボサで気にしていたんだぁ」
「なんでやの。これくらい、天使ならできそうやのにな」
「うーん、俺って不器用だから?」
「疑問形なん?」
「認めたくないだけなんだけどね」
「わははっ」
「笑うなよな!」
「え、ちゃうねん、なんや、本当にずっと田辺とは一緒にいたような気がしてさ。本当、ずっとっ昔から兄弟やったんちゃうかなって」
「チトセ…」
「わ、ごめんな。なんや、しんみりしてしもうたな」
「そんなことないよ。俺はチトセと一緒にいるならどんなことだって聞くから」
「ほんまに?」
「ほんまやで?」
「何それ、俺の真似してるん、似てないわぁ」
「確かにな」
「そやろ」
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