裏側・1




=ユウキside=


君が俺に笑いかけてくれた時のこと、今でも鮮明に覚えている。


だって、はじめて誰かに興味を持った。
だって、はじめて誰かに恋をした。


会いたいとか触れたいとか独占したいとか、自分でも驚くくらいの激しい感情。

俺はまだついていけない。


それなのに、たまらなく、チトセが好きな自分がここにいて。



今の彼女だって、成り行きで付き合ってみたけど、好きになれない。

チトセのようにずっと一緒にいたら、俺はその女もチトセのように愛しく思えるのではないかって思ったのに…

そうしたら、チトセへのこの執着心も消えていくのだと思ったのに。


どうしてだろう。
何も今までと変わらないのに…

どうしてだろう。
今まで以上に俺はチトセのこと独占したいと考えている。


さっき彼女からきたメールも上手く返せないまま、
今日の昼休みのチトセの温もりを俺は自分の中に残っていないかと探した。


「……っ」

誰かが昔言っていた。
恋をしたら、毎日が楽しいと。
けど、そんなの嘘だ。


だって、俺はこんなにも
君が恋しくて辛いのに…






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