安眠・1




=ミチユキside=


俺が神様に提案したゲームに初めて便乗してくれたのは田辺の兄だった。

彼は本当に優しく誰からも好かれるような天使だった。

なのに、彼は人間の願いを叶えて帰ってくると神さまに一言
「消してください」と言った。


俺は驚いた。


確かに天使っていうやつは今や暇で暇でしかたないだろうけども、そんな願いごとをするなんて思いもしなかった。


そして彼は消えた。


消えていく時の彼の笑顔はとても安らかで少し…ほんの少しだけ、
俺も憧れてしまった。

きっと消えてしまえば、もう何も想うことなんてないんだろうなって。
想ってしまった。

それはどの天使にしても同じだったんだろう。

次から次へと人間の願いを叶えては自分も消してくれと神さまにねだった。

神さまは本当は辛いのに、なんでもないような顔をして次から次へと天使を消していった。



天界もだいぶ殺風景になった。



俺は謝罪の言葉をさがしたけども、神さまは決して俺を責めるそぶりも見せず、お調子者ぶって笑われた。



*****


あまりにも天使が地上に行きたがるものだから、俺は制限をかけるべきだと提案して、地上に降りる天使は神さまが決めることにした。

結局決めるといっても順番の問題になるだけなんだけどさ。


神さまの心の準備とか、俺はいると思ったから、そうしたんだけど…

それはそれであまりいい結果になることもなかった。






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