恋心・4
=チトセside=
放課後に屋上に行こうと約束をしていたんやけど、なんか、お昼休み、ユウキがそっと俺の髪の毛に触れて「今からじゃ駄目?」と甘い声を出したから、田辺には悪いと思ったけども、俺はユウキの誘いを断れず、一緒に屋上に行ったんや。
するとな、ユウキはいきなり俺のことを抱きしめて、首元にキスした。
どうしたんだろうって思った。
やって、ユウキはいつも、俺の確認取ってからやないと俺に触れもしないくせに。
なんや、余裕ないみたいやった。
しきりに「田辺と俺とどっちが好き」とかくだらないことを聞いてくる。
俺は答えなかった。
やって、お前には可愛い彼女おるやん。
なんで、俺だけそんなもん、聞かれなあかんのやろ。
それに、俺たちって別に、恋人同士でもないじゃん。
ただ、君の恋が上手く行くように、練習台として、俺を君が利用しているだけやん。
浮気相手とか、せめて想いたくて、俺はそういうことにしているけども、本当のことろはそれ以下じゃん。
俺って、お前にとって、ただの親友じゃん。
そうやろ…
そうやけど、な、俺ってホンマ馬鹿やでな。
やって必死にキスしたり、肌に触れてくるユウキが好きでたまらんのやから…
ホンマ救われへん。
[*前] | [次#]
目次に戻る→