承認・7
通学路を二人で歩いていて思ったことは、神様って本当にいるんやなってことだ。
ホンマ、昨日、田辺から説明を受けた通り、俺と田辺は兄弟ってことになっていた。
「おもろいな。みんな俺たちを冨田兄弟って呼んどる」
すれ違う時の朝の挨拶で、そう呼ばれた。
俺一人っ子だから、本当の兄弟ができたようで嬉しいかもしんない。
「チトセ」
おはようと、俺の親友のユウキはいつも通り俺の隣に並んだ。
そして「田辺くんもおはよう」とにっかりと笑う。
すると田辺はユウキに向かって「俺って何年何組だっけ?」と尋ねた。
それは俺も気になるところだ。
だって、兄弟設定をされているとは聞いたものの、どちらがお兄さんかは聞いていない。
「田辺、お前は本当に…何回もそんな冗談が言えるよな」
何回も…言っているように設定されているんだ…そんな会話。
「えーだって忘れてしまったんだもん!」
「同じクラスなのに?」
「「ええええーっ!?」」
俺と田辺は同時に声を上げて「「俺の方が絶対年上だと思っていたのに!」」とはもった。
ユウキはそんな俺たちを見て「本当、いつも、いつも、飽きないな、お前ら」と苦笑。
そないですか。
俺たちってそんな設定ですか。
でも、同じクラスっていうのは心強いっていうか、なんか嬉しいな。
「てか、二人して朝からラブラブなのはいいけど、チトセちょっと」
ちょいちょいとユウキが俺を手招きした。
なんだろうなって思って俺はそれにしたがったんやわ。
そしたら、ものすっごう低い声で「放課後、屋上で」と告げられた。
……そうか、俺の世界に田辺が出現しても、俺たちの関係は変わらないものだったんだ。
[*前] | [次#]
目次に戻る→