=小雪side=


弁護士になるって言っていた一樹の信念に僕は憧れて、一緒の大学に入った。ま、高校の半分が勉強つけになってしまったけども、やっぱり弁護士っていいなって思ったんだ。当人間ではなかなか難しい話を上手に収める。それって本当にすごいなって。

「小雪って、頭いいよな」

休日僕が窓の外をだらしなく見つめていたら、優香が唐突にそう言った。

「なんで、僕っていつも成績は地べただよ。学年トップの優香ちゃん」

「でも、急に弁護士になるんだって、言いだして、勉強をはじめたら、大学受かったじゃん」

それってすごくないか、と優香は呟いた。なんか、拗ねているみたい。
可愛いなぁ。本当に。

「ヤキモチ?」

「なっ、違う。なんで小雪はそんなこと言うんだよ!」

そんなことがあるわずがないだろって、顔を真っ赤にして説得力がないけども、優香は否定した。

「僕はもともと一つのことしかできない子なんだ」

「小雪…」

「だから、残りのことは優香がしてくれるんじゃないかって僕は夢でも見ているよ?」

「確信犯?」

「えへ、ばれた?」

「うん。ばれてる。ま、俺は暇だから、小雪のちょっとした手伝いくらい、言われなくてもするけどね。あ、でも、俺、本当はわかっていたんだ。小雪は…中佐都さんと一緒の大学に行きたかったからじゃなくて、弁護士になりたいって思って勉強がんばっていただけだって。でも、なんか、たまに、不安あったりしただけ」

「馬鹿、僕は一つのことしかできないって言ったのに」

「え?」

「優香のこと好きだから、浮気なんてできないよ?」

僕って不器用ですからって冗談めかして笑うと、優香も笑ってくれた。

「もちろん、優香も浮気しないよね?」

「いや、俺もしないんじゃなくて、できないかな?」

「そうだよね。僕みたいないい男の子と付き合っているのにできないよね!」

「自分で言うな!」

「確かに」






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