4
「倉木…本当は俺、が、もっと何かを望んでいるんだ」
「え?」
「いつだって倉木は優しいから、俺が甘えてしまいたくなる言葉をくれるけど、それじゃあ、だめだなって思ってさ」
「だめなの?」
僕は足をとめた。なんでだろう、先生が遠い。
「……だめ、なのかな?」
「違う、倉木を責めているじゃないんだ。俺が、いつまでも倉木に甘えていてさ、俺にだって、倉木に甘えてほしいっていうかそのなんだろうな、その、つまり、安らぎを与えてあげられたらいいのにって、でもそんな方法、俺にはわからないし、だから、なんとかしたら、できるんじゃないかって思って」
俺が感じたように、倉木にも温かいものがあげられたらいいのにって先生は声に出す。
本当、僕は幸せ者だな…
「先生」
僕は蓮見先生に抱きついた。
「く、くく、倉木っ外じゃあ、そういったことするなって倉木が言ったんじゃないかぁ!」
「…え、先生がしたらいけないって約束」
だから、僕はいいんだよって笑った。すると先生は理不尽だと言う。
そう、理不尽だ。
「それに、先生、僕は何回も言っているけど、傍にいてくれるだけでいいんだよ」
「でも、そんなこと誰にだって…」
「できないよ」
そうできない。
「だって、僕が愛してほしいって願うの、先生だけだし、先生はそれをいつも僕の横で叶えてくれるし、僕はそんな素敵な恋人しか、そばにいても…あの、上手く言えないけど…そういうことだよ」
「わかったわかった」
本当に家についたら、覚悟してくれって先生は僕の頬に触れた。
単純…すぎるよ、先生。でもそんなところも好き。
[*前] | [次#]
目次に戻る→