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=倉木side=
僕の世界は僕で完結していた。
でも、
そこに蓮見先生や北王子が登場して、
もっと僕を困らせた。
一人の平穏が消えて、僕は戸惑って。
いろいろとあったけども、
今、思えば、とても幸せだったんだなって思う。
失うのが怖いとか、理解されないのが怖いとか、
そんなの、一人ぼっちだったら、
考えもつかなかったことだろう。
だから、ありがとうって、大好きだよって、
伝えたいと思った。
でも、
言葉にすると何だか軽々しい感じになりそうで、
それに何よりも恥ずかしくて、
だから、絵を描いた。
蓮見先生と北王子と僕と、三人が幸せそうに
笑っている絵。
とても愛おしい感情に満ちた絵。
きっと僕はもう以前のような絵を描くことはできなくなっただろう。
最近のコンクールで賞をもらった絵に
「お疲れ様」と声をかけた。
僕は
もうあんなにも寂しい絵を、描けない。
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