最終話
=蓮見side=
放課後の美術室に行くと、倉木が一人で、絵を描いていた。
その表情は真剣で乱したくなるけど…
今、倉木は本当に真剣に絵を描いているから、俺は邪魔にならないように、その辺の椅子に座ると、期末テストの答案の○つけを始めた。
「……できた」
ぼそって倉木は呟いた。俺は、○つけを止めて、倉木のところへと歩き出す。
「見せてみろ」
「う、うんっ」
でもそんなに上手くないよっていいながら、最近、どこぞのコンクールで最優秀賞をとった君は謙遜した。
「ちょったぁー」
「先生…?」
しまった驚いて叫んでしまった。倉木が不振な顔をしているじゃないか。
馬鹿、俺の馬鹿。
「わりぃ、びっくりしただけ…」
「……やっぱり、変かな…」
「いや、俺は、今までで一番、倉木の絵の中で、これが好きだ」
「ほ、ほんとう…?」
「嘘吐くわけないだろう」
「嬉しい…」
「倉木っ」
「わ、せんせ…?」
しまったついトキメイて抱きしめてしまった。学校じゃ、学校じゃあ、触れないって約束していたのに俺としたことが…
「ごめん、家に帰ったら、存分にいちゃつかせて…ください」
「う、うん…」
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