「確かに、俺に小雪の気持ちはわからない…」

「ほらね」

「でも、小雪がとても辛い思いをしていたんだって、わかった」


「え?」


「……その、空っぽでも、今、何もなくても、作ればいいと思う。明日は長々と続くんだし、そのさ、ゆっくりでもいいから、積み上げていけば、小雪にとっての何かが、できるかもしれない」


「あはは…その発想はなかったかな?」


僕は優香の言葉に驚いて笑った。びっくりだ。どうして僕はそんな簡単なことに気がつかなかったんだろう。また作って行けばいいんだ。また壊れるかもしれないけども、また作ればいい。


「でも、それって僕には辛いかな…」

ゆっくりと積み重ねる努力は、期待じゃないだろうか。すると、僕はそれが叶わなかった時、きっとまた押しつぶされそうな気持ちになる。


「小雪…俺さ、どう言っていいのかわらかないけど、俺も中佐都さんとか蓮見先生と同じで、小雪のこと大切に思っているよ。だから、その何かできるわけがないかもだけど、何かしてあげたいと思うし、力になりたいって思うし、いや、それでどうにかなるような話じゃないかもだけど…」


「優香ありがとう」

僕は、小さくほほ笑んだ。



ずっと一人だと思っていたのは、僕の我がままだ。
一人じゃないのに一人だと思いたかったのは、いつか失うんじゃないかって怖かったからだ。



「でも、僕は優香たちが、僕のそばにいてくれたら、それで大丈夫かな」



そうだよね、忘れていたよ。あたり前みたいになっていて。
確かに今までも僕は幸せであったはずなのに…






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