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「今だけ答えて。明日からはいつも通りでいいから、今だけは教えてほしいんだ、小雪」
「優香…なんで……」
なんで君はそんなにも真剣なんだろう。
だめだな、完全に、涙腺が切れたみたいだ。
泣いているつもりなんてないのに、涙が止まらない。
「小雪…ごめん、泣かせるつもりじゃなかったんだ。そんなにも詮索されるのが嫌だったとか俺思わなくて、そうだったよな。俺だけの意見を押し付けたら駄目だよな。これは俺だけの問題じゃなんだから…」
もう、問い詰めないから元気出してくれって優香は囁いた。
優しすぎてどうしたらいいのか…わからないくらいに、切ない。
「優香、くだらない、こと聞いてくれる?」
ぼそぼそと僕の口は動く。
「聞きたくないならいいけど…」
ずっと誰かに理解されたいと望みながら、僕はこのことを誰にも話したりはしなかった。だって、言いたくない。そこには絶望しかない。そんなの、辛いだけだ…
「ああ、俺が聞きたいってせがんだんだろ。小雪」
「うん。そうだったね、このお節介」
僕はちゃかしていつも通り笑ってみた。あれ…なんだか、自然だ。
「でも…一つだけ、優香、約束してほしい」
「何を?」
「明日から、いつも通りに戻らなくていいから」
「え?」
変えていけるはずの明日は、きっと僕が捨ててしまったら、訪れないだろう。ま、変わるのがいい方向へ行くか悪い方向へ行くかは、わからないけども。エンドレスよりはいいのかもしれない。
信じている明日がこなくても、僕は笑える自信ならあるし。
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