第十話




=小雪side=


僕は優香があまりにも真剣な顔をするから、どうしていいのかわからなくなって、とりあえず時間をおいたらどうにかなるんじゃないかって安易に考えて、一人、お風呂に入った。

でも、答えなんてでるわけもなく、僕は濡れた髪をタオルで拭きながら、リビングへと戻る。

それはただ単に、優香がまだ一人で悩んでいるのなら、もう気にするなと言うためだったのだけど、先手を打たれた。


「どうしたって小雪は小雪なんだ!」

と、急に僕を見つけると優香は叫んだ。


「たとえ、嘘吐いて強がっても、だからって小雪が小雪でなくなるってことはないよ!」

「優香…」

胸が痛んだ。優香は僕が逃げてお風呂に行った後もここで一人考えていてくれたのかなって。


「どうしてそんな真剣になるの。いいじゃん別にめんどくさいことなんて放置したらいいのに…」


やばい、涙腺が緩んできた。


「めんどくさいって何がめんどくさいんだよ!?」

「え…っ」

「真剣になって悪い? 俺、何もできないけど、何かできるようになりたいって望んだらいけないの?」

「優香」

「小雪は、俺のこと信じられないかな…?」


「え?」


信じられないかなってどういうことなんだろう。
僕は優香のその言葉に困惑した。






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