「わっ…」

調度、夜ごはんが食べ終わるだろうって時に、急に電気が落ちた。
何にも見えない。
懐中電灯なんて、用意してないのに…
ま、ブレーカーを見にいってから、考えたらいいか。


「…ゆ、う……か?」


「?」

「優香、何処?」

何処にいるのって小雪の声がした。
俺はその聞き覚えのある震えた声に返事をして、小雪のいたところへと手を伸ばした。

もしも、勢い余って、変な所に当たって、小雪が痛がらなくていいように、そっと慎重に。

「ほら、ここに居る」

すぐ近くにいるよって、まっ暗がりの中で俺は小雪の腕を掴んでいった。
すると小雪は泣き出しそうな声で「そばにいて」と言う。

「僕…暗いの、静かなの…駄目なんだ」

「でも、ブレーカー見に行かないと、ずっとこのままだよ…?」

「う、うん…」

「ほら、一緒に行けばそれでいいんじゃないのか?」

「そうだよね。ごめんね」

「いいよ、そうやって頼られるのは嬉しいから」

顔が見えないせいなのか、俺は普段なら恥ずかしくて言えないことをすらすらと口にする。

「それに、小雪がいてくれたら、俺は怖くないよ」

そ、いつだって本当に怖いのは、
一人ぼっちに戻ることだから。
だから、俺は、ずっと自分の想いをひた隠しに、小雪とここで暮らしてこれたんだ。






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