プロローグ9
言葉を並べたってどんな綺麗ごとを言ったって、
現実は変わらない。
誰も俺の境遇をかえることなんてできない。
誰も俺のためになんてなってくれない。
期待しない。
それが一番。
なのに…
『優香、よかったら一緒に暮らそう』
俺の唯一の家族が交通事故にあって、いろいろとあった揚句、俺は自分の住む家をなくして途方に暮れていた。
そんな時、人のいい馬鹿な義兄弟は俺に手を伸ばしてくれた。
俺に、まっすぐに、微笑んでくれた。
それはいつも彼が見せている偽りの笑顔ではなく、
心の底から、俺のことを心配して、
勇気つけようとしているかのような…
そんな笑顔だった。
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