7
「優香〜ご飯食べようよ〜」
僕は優香の部屋の前で声を上げた。
「……ああ、今から買い出しに」
まだ今日の分は買ってないんだと優香は申し訳なさそうに言った。
ここの家に優香を招いた時から、優香は僕の変わりに家事をしてくれていた。
優香曰く、何もしないでいるのが気持ち悪いかららしいけども、きっとちょっとした恩返しのつもりなんだろうな。
「だったら、僕も行きたいな〜」
「…え?」
「だって、行きたいな!」
僕はついに何だか恥ずかしくなって早口に言ったら、優香は小さく笑った。
「しかたないから、連れていって、あげるよ」
「え、本当にぃ。やったぁ嬉しいな」
「……ぇ、あ、うん」
「優香ちゃん照れてるぅ?」
「て、てて、照れてないんかいない!」
「そっか、優香は照れていない。うん。わかった」
「わかってって、お前、わかってねぇだろ!」
「うん。わかってないな。優香の可愛さは知っているんだけどね」
「………一回、眼科に行け」
ぼそっと優香はそう言い残して、部屋の扉を閉めた。
でも、僕にはわかっている。
ただ今は用意をしているだけで、それがすんだら、ここから出てきて、何事もなかったように、こういうんだろうな。
「ほら、タイムセールに遅れるぞ!」
「…うん!」
[*前] | [次#]
目次に戻る→