「優香〜ご飯食べようよ〜」

僕は優香の部屋の前で声を上げた。


「……ああ、今から買い出しに」

まだ今日の分は買ってないんだと優香は申し訳なさそうに言った。

ここの家に優香を招いた時から、優香は僕の変わりに家事をしてくれていた。
優香曰く、何もしないでいるのが気持ち悪いかららしいけども、きっとちょっとした恩返しのつもりなんだろうな。


「だったら、僕も行きたいな〜」

「…え?」

「だって、行きたいな!」

僕はついに何だか恥ずかしくなって早口に言ったら、優香は小さく笑った。


「しかたないから、連れていって、あげるよ」

「え、本当にぃ。やったぁ嬉しいな」

「……ぇ、あ、うん」

「優香ちゃん照れてるぅ?」

「て、てて、照れてないんかいない!」

「そっか、優香は照れていない。うん。わかった」

「わかってって、お前、わかってねぇだろ!」

「うん。わかってないな。優香の可愛さは知っているんだけどね」

「………一回、眼科に行け」

ぼそっと優香はそう言い残して、部屋の扉を閉めた。
でも、僕にはわかっている。
ただ今は用意をしているだけで、それがすんだら、ここから出てきて、何事もなかったように、こういうんだろうな。



「ほら、タイムセールに遅れるぞ!」


「…うん!」






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