「ね、一樹、どうしてみんな僕に優しくしてくれたんだろう…」

お昼休みが終わる少し前に僕は一樹に聞いてみた。

すると一樹は一言「小雪だから」と言う。
僕にはその意味がわからなかった。

どうして僕だからって優しくする必要があるんだろう。


「……小雪、何かあったら、俺、聞くからな?」

「え?」

一樹は今まで僕が落ち込んでいても何も聞いてくることはなかった。

なのに、急にどうしたんだろう。
いや、悪いことじゃないけど。

ああ、菅野くんの影響なのかな…
妬けるな。


「大丈夫だよ。僕ね、昔に教えてもらったの。希望を持って楽しく過ごそうとしている人にはきっと素敵な明日がくるって」


「…そうだったな…俺、そんなことも言っていたよな」

「えへへ、僕の格言なんだぁ」


「でもな、小雪…」

「一樹、僕は大丈夫なのだ」

ピースを一樹の目の前に出して、僕は笑った。
なんだか、最近笑えば全てが丸くなるような気がしてならない。

そんな自分が少し寂しい。






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