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=中佐都side=
「ずっと俺は思っていたんだけど、中佐都って暗がりとか大きい音とか駄目だよな?」
俺の目をじっと見つめて菅野はそう言った。否定する理由もなく俺はそうだよって答えた。
「…あれ、隠していたんじゃないのか?」
菅野はびっくりした顔でそう言った。
「え、俺、言わなかっただけで隠してなんてない」
ただ、学校で一回電気が切れた時、菅野が心配そうな顔をしたから俺は『平気』だとは言ったけど、何も隠していたわけじゃない。それに、いちいちそんな話をするのもどうかなって思っていたんだ。だって、その時楽しくしているのに、余計なことしたくないし、菅野に気を使わせたくないし。
俺が我慢したら耐えたら済む話なのに…
「じゃあ、今度からは言ってくれ。俺は中佐都に怖い思いして、欲しくないんだ。その…守りたいって、言ったら、ちょっと偉そうだけど、少しでも中佐都のために何かできたらなって思ったりしていてな、うんそうそう」
そうなんだよって菅野は俺から目をそらして背中を向けた。どうやら、今顔が赤いんだろうな。
いつだって菅野は俺に照れた顔を見せないようにしている。
「菅野、こっち向いて」
「いや、今、顔赤いから、嫌かな?」
「隠せないで振り向いてよ」
「……中佐都にだけだからな」
こんな恥ずかしいの見せるのはって菅野はほほ笑んだ。
その笑顔が夕日に溶けるように見えて、
俺は迂闊にも、泣いてしまった。
「中佐都…?」
「ちが、わからない、これはただなんか、勝手に流れてきて…そのっ」
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