「でも、守くん、私はちょっと不安だな」

「え、なんで?」

私は自信が常になさそうな中佐都くんを思い出した。


「守くんは、幸せって怖い?」

「どういう…こと?」

「幸せだと、その幸せがなくなることに、恐れちゃって、辛くなることかな」

「……それは…とても…つらいと、思う」

「そうだよね。幸せなのに、幸せになりきれないってね」

私にできることなんて何があるってわけじゃないけども、私は中佐都くんが心配になった。

無理しているから。


「それに、辛いのに、辛くないんだって笑う気持ちも、見ていたら…」

「先生…難しいこと、考えすぎだよ?」

「守くんにそれを言われるなんて、私って考えすぎかな?」

「ううん。でも…俺は、先生が困っている姿は…俺以外の誰かで見たくない」

「……たまに守くんは頼もしいなぁ」

「どこが?」

守くんはクスクスと笑った。


「私ね、守くんといたら、落ち込むこと減っちゃうんだ」

「本当に?」

「うん、いろんなこと考えちゃって、落ち込んでられなくなる」

「それって…ほめているのかな?」

「…どうだろう」

私は言葉を濁した。だけど、やっぱり伝えたくて、また言葉を紡ぐ。


「守くんが好きってことかな?」


「先生、あの…キスしたい」



「…いい、よ」







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