3
帰り道、疎外感も確かにあったけど、俺は仲のいい二人を見ていたら、ほほえましいと思った。
「わるかった。先生があんなにも、中佐都に興味を持つと思わなかった」
病院を出て、菅野はそう言った。
普段、先生はあんな風に誰かに話しかけたりしないらしい。
「…気に、してないから」
「ああ、あの人に悪気はないんだけど、今回のはどうしたんだろうな…」
「たぶん、菅野の恋人…だからだと思うけど?」
きっと神崎先生は菅野のこと大切に思っている。だから、そんな菅野と付き合うのにふさわしいか、何処かで確かめていたんだと思う。
「中佐都…っ」
「え、何?」
「恋人ってところ、照れすぎだから」
「わ、そんなことないからっ」
「ある、そんなことある」
「ないからないからないって」
「あるからあるからあるって」
「「あはは…」」
菅野と俺は笑って肩をたたき合った。
こんな風に菅野と一緒にいられるなんて、ウソみたいに幸せ。
きっと菅野にこの話をしたら怒られるだろうけど、
俺はだから不安。
この幸せがいつまでも続いてくれるだろうかって。
『元気でね』と言った
神崎先生の別れの言葉が、
俺には『しっかりしろよ』と
聞こえたんだ。
[*前] | [次#]
目次に戻る→