帰り道、疎外感も確かにあったけど、俺は仲のいい二人を見ていたら、ほほえましいと思った。


「わるかった。先生があんなにも、中佐都に興味を持つと思わなかった」

病院を出て、菅野はそう言った。

普段、先生はあんな風に誰かに話しかけたりしないらしい。


「…気に、してないから」

「ああ、あの人に悪気はないんだけど、今回のはどうしたんだろうな…」

「たぶん、菅野の恋人…だからだと思うけど?」

きっと神崎先生は菅野のこと大切に思っている。だから、そんな菅野と付き合うのにふさわしいか、何処かで確かめていたんだと思う。


「中佐都…っ」

「え、何?」

「恋人ってところ、照れすぎだから」

「わ、そんなことないからっ」

「ある、そんなことある」

「ないからないからないって」

「あるからあるからあるって」



「「あはは…」」



菅野と俺は笑って肩をたたき合った。
こんな風に菅野と一緒にいられるなんて、ウソみたいに幸せ。

きっと菅野にこの話をしたら怒られるだろうけど、
俺はだから不安。

この幸せがいつまでも続いてくれるだろうかって。



『元気でね』と言った
神崎先生の別れの言葉が、
俺には『しっかりしろよ』と
聞こえたんだ。






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